セラミックの試作と短納期対応

株式会社セライズ

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化学耐性

化学耐性を高めるセラミック

セラミックは化学的安定性が高く、酸やアルカリに対しても優れた耐性を示します。この特性により、化学工業や半導体製造分野での使用が広がり、顧客にとっては安全性と信頼性が向上します。腐食性の強い環境下でも長期間使用できるため、設備の信頼性向上とメンテナンスコスト削減に貢献します。

事例紹介

事例1
事例1
分析機器
課題
  • 気体分析用に使うサンプルボードに薬品耐性とアウトガスが出ないことが要求された
ご提案

従来の磁器から化学耐性に強く、アウトガスが出ないアルミナ96%をご提案

効果
分析精度の向上と長寿命を実現
事例2
事例2
制御装置
課題
  • イオン発生させる先端部分において、耐オゾンと耐薬品性能が求められた。
ご提案

化学耐性およびアウトガスが出ないアルミナ99.5%をご提案

効果
装置性能の向上と長寿命を実現


セラミックの化学耐性とは

化学プロセス、半導体製造、医療機器、環境技術など、多くの産業分野では腐食性の強い環境下で使用される材料が求められています。酸、アルカリ、有機溶剤などの化学物質は、多くの金属や樹脂材料を劣化させ、製品寿命の短縮や性能低下を引き起こします。

このような課題に対して、セラミックの優れた化学耐性が注目されています。セラミックは化学的安定性が高く、酸やアルカリに対しても優れた耐性を示します。この特性により、化学工業や半導体製造分野での使用が広がり、顧客にとっては安全性と信頼性が向上します。


高い化学的安定性

セラミックは多くの酸、アルカリ、有機溶剤に対して優れた耐性を持ち、腐食環境下でも安定した性能を発揮します。

低アウトガス性

セラミックは一般的に金属や樹脂に比べてアウトガスが少なく、高純度プロセスや精密分析装置などの用途に適しています。

材料選択の多様性

用途に応じて適切な化学耐性を持つセラミック材料を選択できる、幅広い材料オプションがあります。


化学耐性の科学的メカニズム

セラミックの優れた化学耐性は、その原子結合構造に起因しています。セラミックは主にイオン結合や共有結合によって構成されており、これらの結合は化学的に非常に安定しています。そのため、多くの化学物質に対して不活性であり、化学反応を起こしにくい特性を持っています。

例えば、アルミナ(Al₂O₃)は強酸や強アルカリに対しても高い耐性を示し、シリカ(SiO₂)はフッ化水素酸を除くほとんどの酸に対して安定しています。ジルコニア(ZrO₂)は強酸性環境でも優れた耐性を持ち、窒化ケイ素(Si₃N₄)は多くの溶融金属に対して不活性です。

これらの特性により、セラミックは腐食性の強い環境下でも長期間使用できるため、設備の信頼性向上とメンテナンスコスト削減に貢献します。

主要セラミックの化学耐性
  • アルミナ:強酸・強アルカリに耐性
  • シリカ:フッ化水素酸以外の酸に安定
  • ジルコニア:強酸性環境に耐性
  • 窒化ケイ素:溶融金属に不活性

化学耐性と材料選択

セラミックの化学耐性は、その組成や微細構造によって大きく異なります。用途に応じた適切な材料選択が重要です。以下に主要なセラミック材料の化学耐性の特徴を示します。

アルミナ(Al₂O₃)

強酸(硫酸、塩酸、硝酸など)に対して優れた耐性があり、強アルカリに対しても比較的安定です。ただし、フッ化水素酸や熱りん酸には弱い特性があります。

ジルコニア(ZrO₂)

強酸性環境で優れた耐性を示し、アルカリ性環境でも安定しています。ただし、高温の硫酸には弱い傾向があります。

アウトガス特性

セラミックのもう一つの重要な特性は、低アウトガス性です。アウトガスとは、材料から気体成分が放出される現象で、特に高真空環境や清浄環境では問題となります。

セラミックは一般的に金属や樹脂に比べてアウトガスが少なく、高純度プロセスや精密分析装置などの用途に適しています。特に、適切に焼成されたセラミックは有機物を含まないため、有機ガスの放出がほとんどありません。

この特性は、半導体製造、真空装置、分析機器などの分野で重要視されています。

産業界におけるセラミック化学耐性材料の応用

化学プロセス産業での応用

化学プロセス産業では、反応容器、配管、バルブ、ポンプ部品など、腐食性の化学物質と接触する部品にセラミックが使用されています。特に、強酸や強アルカリを扱うプロセスでは、セラミックの化学耐性が重要な役割を果たしています。

例えば、硫酸製造プロセスでは、アルミナやジルコニアのセラミックライニングが使用され、金属容器の腐食を防止しています。また、塩素アルカリ製造プロセスでは、セラミック電極が使用され、長期間の安定した電解性能を提供しています。

半導体・電子産業での応用

半導体製造プロセスでは、高純度かつ化学的に安定な材料が求められます。特に、エッチング、洗浄、CVD(化学気相成長)などのプロセスでは、腐食性のガスや液体が使用されるため、セラミックの化学耐性が不可欠です。

例えば、半導体製造装置のチャンバー部品、ウエハーホルダー、ガス分散板などには、アルミナや窒化アルミニウムなどのセラミックが使用されています。これらのセラミック部品は、腐食性環境下でも安定した性能を発揮し、半導体デバイスの歩留まり向上に貢献しています。

また、電子部品の基板材料としても、アルミナや窒化アルミニウムなどのセラミックが使用されています。これらの基板は、高温・高湿環境下でも化学的に安定しており、電子機器の信頼性向上に貢献しています。

環境・エネルギー分野での応用

環境技術やエネルギー分野では、排ガス処理、水処理、燃料電池などの用途でセラミックの化学耐性が活用されています。

例えば、排ガス浄化システムでは、セラミック触媒担体が使用され、高温の腐食性ガス環境下でも安定した性能を発揮しています。また、水処理システムでは、セラミック膜フィルターが使用され、酸性やアルカリ性の水環境でも長期間の使用が可能です。

燃料電池の分野では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の電解質としてジルコニアセラミックが使用されています。このセラミック電解質は、高温・還元雰囲気下でも化学的に安定しており、長期間の安定した発電性能を提供しています。

化学耐性セラミック材料の選定ポイント

材質選定のポイント

化学耐性セラミックを選定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

  • 使用環境の理解:接触する化学物質の種類、濃度、温度、圧力などを正確に把握し、それに適した材質を選定
  • 純度の考慮:一般的に、高純度のセラミックほど化学耐性が高い傾向がある(例:アルミナ99.5%はアルミナ96%よりも化学耐性が高い)
  • 微細構造の影響:気孔率や結晶粒界などの微細構造も化学耐性に影響するため、用途に応じた適切な微細構造を持つ材質を選定
  • 複合環境の考慮:化学的環境だけでなく、温度、圧力、機械的負荷などの複合環境も考慮した材質選定
  • コスト効果:材質コストと寿命延長効果のバランスを考慮